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NHK朝ドラ舞いあがれ! 1月10日〜20日の感想

January 20, 2023

 お父ちゃんが先にフェイドアウトすることだけは聞いていたので、そのあとどうなるのか、年末にネタバレ覚悟の質問をすると、妻がわたしが社長の跡を継ぐことになる、とポロリ。え? そんなリアリティのないシーン、誰も見たくないと思うけど、と思わず本音を、、、そしたら、ドラマの中で、工場の俳優さんたちが、「奥さんには、無理や」とか、同じようなセリフを口を揃えて言っていましたw。

 つまりは、視聴者が最初に抱く違和感や、不満を、登場人物たちのセリフに代弁してくれていたわけですね。すると、見ているこちらの心は、次第に、舞やお母ちゃんの味方になってくる。得意先で浴びせかけられる容赦ないセリフも、事務の女子社員のセリフも、痛いだけ説得力に繋がっていく。

 そして、なにより、唸らせられたのは、それまでの工場のシーンより、もっと面白くなっていたことです。大事な歯がひとつ欠けたことで、工場で働く人々、一人一人の性格が浮き彫りになるとは。。お母ちゃんの変わっていく姿に、営業のセリフに、これほどリアリティがあるとは。。

 リストラも敢えて三人に絞ることで、亡きお父ちゃんとの絆や、人間味をグッと引き出した。最後まで辞めなかった職人が、いわゆる労働者争議にいくのかと思えば、一番プライドを持って仕事をしていた、それを新しい社長が知らなかった、というくだりには、やられましたw。このように、いい意味で誤解させるシーンや、セリフが、随所随所で光ります。お前、よく来れたな、とか、今晩、予定入っていますか、とか、一旦、間をおいて、予想とは別の方向に進んでくれる。

 また、いいなと思うのは、主人公の舞が容赦なく、追い込まれるところ。(というか、自ら、向かい風の方向を目指しているという節もある?)どこまでいっても困難が待ち受けている。簡単には予定調和にはさせないぞ、現実はそんな甘いもんじゃない、という現場の声が聞こえてきそうです。

 パイロットの内定(一年延期)を断った舞が、ネジの営業先で何度も叩きのめされ、頭を下げても下げても結局、仕事に繋がらなかった目線の先に、窓があり、青い空があり、その遠くの方に飛行機が飛んでいるのが見える。。こんなの、グッとこない方が無理ですよね笑。

 一度大損失を被ったネジで、初めての得意先につながるところ、一度やめた工場のお兄ちゃん(アキラ)に頼ることがきっかけとなって、工場の土地を売り再生をはかる決断に向かうところ、そこに疎遠になった長男ハルトが絡んでくるところ、腹黒そうに見えて実は人間味がある、すべてに、敗者復活に近いような眼差しがあります。横山君も腹を括った感じがしていいですね。新たな黒い部分が、開花したような笑

 わかっていても、これからをつくる若者たちに、生きることの困難を、働くということの尊さみたいなものを、教えたくなりますね。原点に帰って。それが、いつまで続くかわからない世界だとしても。

 最後に、古舘寛治さんの腰の曲がらないラジオ体操、ネジの講義、ほかにも存在感、本当に光ってますよね。ずっと以前、とあるロケでご一緒したときに移動中、身の上話を聞いてもらったことがあるのですが、妻が本人に話したところ、すっかり忘れていたそうです。。笑 

 時間がたってから書くのはなかなか難しく、順番が逆になってしまいました。

(内藤まろ)

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